評価について

評価方法について

評価基準について書きます。人材、ビジネスモデル、計画、ポテンシャルを各1~5点で評価し、合計点数で総合評価を算出しています。投資家目線の評価です。

人材

経営者や経営者を支える人材についての評価です。主に以下の点をみています。誠実さと能力は両輪だと考えています。どちらかが欠けても評価は低くしています。チームの構築力や巻き込む力、チームメンバーの能力を主にみています。ただ、チームの中で会計ができそうな方が名を連ねていても、事業計画をみると杜撰な場合があったりします。名前だけで殆ど参画していない場合もあるので、その実情を深く観察することも必要です。

誠実性

自分へ貸し付けをしていない
取締役報酬が多すぎない
過度な増資を計画していない
子会社で事業をしていない
他社と兼任していない
投資家に過度に不利な条件で資金集めしていない
新株予約権や優先株を過度に発行していない
その他、投資家対し不誠実なことをしていない
経営者 経営経験、マネジメント経験
チーム構築力
他社を巻き込む力・人脈
ビジネス構想力、構築力
会計能力
集金力
事業に対する熱意
行動指針や目標が明確
チーム力 会計能力
ファイナンス力
営業力
法知識
マーケティング戦略立案能力
チームのバランス

 

ビジネスモデル

経営者が有能であっても、ビジネスを行うフィールドや、ビジネスモデルが陳腐であれば成功しません。ビジネスモデルの中身についても細かく見ていく必要があります。需要があってもサービスが広めにくく使いにくければ誰も使いません。広告宣伝費が過度に必要になる事業というのは、それだけであまりセンスがないと思います。できればストック性のあるビジネスであると良いと思います。ストック性があると時間経過とともにビジネスが大きくなりますので、投資家としては安心できると思いますし、経営者としても売上の見込みが立ちやすく、資金繰りや人材集め等も楽です。

商品

サービス

 

将来に渡って需要が見込めるか
サービスの広めやすさ
誰でも分かる・使いやすい
真似できない状況を作っているか(模倣困難性)
サービスに発展性があるか
再利用・継続利用されやすいか(ストック性)
社員1人当たりの売上高に限界がない

売上が伸びても利益がでなければ意味がありません。基本的に競合が少なければ利益率は高くなると思いますので、模倣困難性という個所とも関連しています。売上の伸びによって多くの人を雇わざる得ないビジネスというのはセンスが良いとは思いませんし、売上が落ちると途端に赤字になります。ビジネスが完成したときに、どの程度の人数で運営できるとという視点で見てみるとよいともいます。少ない人数で運営できそうであれば、人件費やオフィスの賃料は少なく、固定費が少ないビジネスと言えます。また常に研究開発を行わないと他社に出し抜かれてしまうというビジネスには投資しない方が無難です。これは投資の神様のバフェットも言っていますね。

利益率 粗利益率が高い(原価が低い)
売上に応じ固定費が上がりにくい
継続して研究開発費が必要でない

割と落とし穴なのですが、法規制が厳しくて思った通りにビジネスを構築できないという場合も多いです。特に規制で守られている業界に近いビジネスは注意が必要です。良いか悪いかは別として、既得権益をもつ団体が政治家と懇意のため、新規参入者を阻むこと等も注意すべきです。

規制

制約

法規制が厳しくない
国策や政策と一致しているか
必要資金が多い

すべてが完璧なビジネスモデルというのは存在しません。どこかに欠点はあると思います。その欠点を乗り越えることができるか、という視点で経営者やチームを見てみることも大事です。

計画

ベンチャー投資で一番気にする必要があるのは、会社の資金繰りです。実績、計画ともに、資金繰りに問題がないのか、というところを細かく見る必要があります。とはいえ、急成長をする企業のCFは悪い場合が多く、増資や借入で資金調達を行うことができそうか?という視点でみることも必要です。レンタルやリース業以外で、粗利がマイナスの会社は投資しない方が無難です。

実績 保有現金が過度に少なくない
借入金が多すぎない
債務超過でない
粗利益がマイナスでない

ビジネスモデルのところでも言いましたが、広告宣伝費を過大に使う計画になっている場合、ビジネスモデルとしてセンスがないと同時に、経営者の能力にも疑いがでます。広まりにくいし、知恵を使ってビジネスの伸ばすことができないと考えられるからです。

売上の計画が過大な計画が多くあります。実現可能なKPIになっているのかを検証する必要があります。売上が計画通りにならないと資金調達できない可能性もあり、事業自体がとん挫する可能性もあります。

計画 過大な売上計画ではない
過大な人件費ではない
過大な広告費ではない
増資や借入が前提の計画でない

ポテンシャル

2020年から評価にポテンシャルという項目を追加しました。事業が成長した場合の想定される時価総額と、現在の時価総額との差が大きいほど評価を高くしています。同業で上場している会社の時価、市場規模、実現可能性等を考慮します。全く未知の業種の場合は算出不可能なこともあると思います。その場合は、2019年の基準で評価しようと思います。

上場確度が高い場合は時価総額が高く設定されています。上場しても大きなリターンが得られないのであれば、その案件に投資する意味は薄いと思います。事業自体の素晴らしさは勿論のこと、リターンとリスクがどの程度かを想定した上で投資をすべきと思い、項目を追加しました。

昨年、唯一のA評価とさせていただいた、オーシャンスパイラルは、ポテンシャルも非常に高いともいます。時価総額は17億円ありましたが、事業が上手くいけば10年程度で4000億~8000億円の時価総額も可能と思います。10年後の売上を200億円程度、純利益を80億円程度と想定し、唯一無二の事業ですのでPERを高めに50~100倍としています。リターンは200倍以上見込めると思います。もちろん、事業が完全に上手くいった場合の想定ですので、大いに間違っている可能性もあります。投資家としては、最終的なリターンとそこに至るまでのリスクがどの程度かを見積もることが大事だと考えています。仮に事業が完成したときの時価総額が低くても、募集時の時価総額が低ければ、ポテンシャルは高い、と評価できます。

総合評価

総合評価は各項目(4項目、1~5点)の合計点数でつけています。

A 17~20点
B+ 16 点
B 15 点
B- 14 点
C+ 13 点
C 12 点
C- 11 点
D 6~10 点
E 4~5 点

 

 

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