投資型クラウドファンディングで投資を行う際に、
最も重要なのが、経営者の能力だと思います。
いくつかのポイントで簡単に判別できると思います。
その辺の中小企業を目指すのではなく、
IPOを目指すレベルの経営者の判別ですので、
多方面から厳しく見なければいけないのは言うまでもありません。
経営者の意気込みや熱意を測るには?
数年でIPOを狙うのは相当にしんどいはずです。
経営者の並々ならぬ意気込みや熱意がなければやりきれるものではありません。
では、どのようにその意気込みや熱意を測ればよいのでしょうか?
経営者から会社へ貸付をしている
ベンチャー企業は資金が不足しているところが殆どです。
仮に売上が伸びていても、資金が足りないということがよくあります。
銀行借入やベンチャーキャピタルからの出資の難度が高いため、
経営者の自己資金を会社に貸付ける場合があります。
経営者の目線に立ってみると分かりますが、
会社が潰れた場合、貸付けた資金や出資金は帰ってきませんし、
職も失うことになります。
無一文な上に、職もない状態になるのです。
会社へ自己資金を貸し付けるというのは、
会社と運命をともにする覚悟を持っている、と推し量ることができます。
ただし、資金計画がずさんで、自己資金を貸し付けることしかできなかった。
という可能性もありますので、経営能力に少し疑問符がつくかもしれません。
経営者が作りたい未来は何か?
経営者が事業をするきっかけ。
事業を通して実現したいこと、
実現するとどんなすばらしい未来になるのか。
きちんと論理的に情熱的に語ることができているかが重要です。
インタビュー動画を見ることもできますので、
社長が自ら語っていることが重要です。
言葉に力がない経営者には誰もついていきませんし、
周りを巻き込んでビジネスを構築することは不可能です。
ただし、口では調子のよいことを言っていて、実が伴わない方もいます。
言っていることの論理性を徹底的に調べてください。
論理が飛躍していたり、市場の数値的な根拠がおかしかったりすることがあります。
客観的なデータを調べたり、反証してみてください。
論理破綻している場合は話半分に聞いて、他のことで経営者を見極めることが大事です。
経営者の経営能力を見分けるコツは?
ベンチャー経営では計画通りに事業が進むことは稀でしょう。
ヒト、モノ、カネ、どれも不足している中で、
苦境におかれても、知恵や経験や人脈を駆使して、
乗り越えていくことができる経営能力が必要です。
マネジメント経験のありなしを確認する
数十人~数百人の部下がいる環境。
事業会社等でマネジメントの経験があればベストと思います。
事業部長以上のクラスであれば、ヒト、モノ、カネの管理をしているはずで、
限られたリソースのなかで、四苦八苦しながら事業をしてきたことでしょう。
経営者と同じような目線で仕事をしてきた経験は、ベンチャー経営でも活きるでしょう。
起業後も優秀な部下とのつながりもあり、リソース面でも有利でしょう。
マネジメント経験がなくても経営者として成功している方はいますので、
経営をしながら経営者として成長できればと思いますが、
最低限の知識を有していないと事業をコントロールすることはできないでしょう。
ここで言う最低限の知識とは、会計の知識です。
大手の事業部長クラス以上の方なら、研修や実践で当たり前のように持っています。
会計能力なんて本当に必要なのか?
会計なんて税理士や会計士に任せてるから問題ないでしょ?
って思うかもしれませんが、それは違います。
会計を知らないというのは、経営能力が無いのと同義です。
飛行機の運転に例えればわかりやすいです。
経営者がパイロットだとして、燃料の量、速度、高度、オイルの量、、
そういった計器の見方やコントロールの方法を知らないのと同じです。
ある程度の飛行訓練をして運転しているのか、
全くのド素人が運転しているのか。
あなたはどっちに乗りたいと思いますか?
例え、優秀な副操縦士が居たとしても、
機長たるもの、最低限の知識をもっていないのは問題です。
知らないというのはそれだけで危険なことなのです。
会計についてはもっと詳しく説明すべきかと思いますが、
本がかけるような内容になるので割愛します。
簿記の知識があれば、会計的に経営を捉えられる経営者だと言えます。
経営陣のスキルは必要十分か?
社長個人の能力も大事ですが、
複数人の経営陣の場合、個々の保有スキルも重要です。
様々なスキルを持つ人間の集団であれば理想です。
どのような経営スキルやチームが必要か?
経営に必要なスキルとして、様々なものがあると思います。
会計(管理会計、税務会計)、法務、営業、マーケティング、
ITリテラシー、コーポレートファイナンス、技術力、人脈など。
複数の専門的な知識を持つ経営陣を構成できることが理想と思います。
先程も書きましたが、管理会計やファイナンスをできることは重要です。
事業をコントロールする上で非常に重要なスキルだからです。
例えば、社長は事業会社で事業部長経験者。
役員Aは会計士。役員BはIT技術者。
こんな組み合わせであれば、上手くいく可能性が高いでしょう。
スキルが多岐にわたっていますし、会計的な事業コントロールができます。
それぞれの分野に人脈をもっているというのも強みです。
多様なスキルを持つ集団を組織しているということは、
そういうチームを作ろうとした証左であり。
経営に精通し、組織のバランスを考えることのできる社長とも言えます。
実際にFUNDINNOで成功している投資先の経営陣は?
実際に私もFUNDINNOで投資をしています。
急成長している会社の1つを紹介します。具体名は出せませんが。
社長さんは大手の事業部長クラス経験者。
役員Aさんは税理士法人出身、役員BさんはIT技術者という具合です。
株主総会へ参加し、お話させて頂きました。
社長さんは会計にもマーケティングにも精通し、営業もこなしています。
資本政策(コーポレートファイナンス)やITにも詳しいです。
毎月IRを出して、状況を詳しく会計的に説明する律儀な方です。
高い目標を掲げてそれを概ねクリアしています。
IRではマーケティング戦略やIT等の話もされています。
正直言って、びっくりするほど優秀な方です。
こんなスーパーマンみたいな方は稀かもしれません。
とはいえ、多くの案件がありますので、
中には非常に優秀な方もいらっしゃるのです。
経営者の質を見極めることが重要だとわかる事例かと思います。
投資型クラウドファンディングで投資すべき経営者とは? まとめ
経営者の意気込みや熱意を見分けるには、会社への貸付けの有り無しを確認する。
動画インタビューや記事を見て、事業を始めたきっかけや、
作りたい未来を自らの言葉で情熱をもって語っているかを確認する。
事業会社等でマネジメントの経験があるかを確認する。
元事業部長クラス以上であれば更に良い。
社長や役員、経営陣すべてのスキルを確認する。
スキルに多様性があり、補完しあえるのがベスト。
社長自身が最低限の会計能力を持っているとよい。
経営陣を見極めるだけで、投資先の成功確度が上がると思われます。
投資する前に、徹底的に経営陣を調べることが肝要と思います。
コメント
個別の質問で申し訳ございませんがロジックアンドデザインについての見解を教えて頂けますか?
数ある案件の中でも評価高い案件かと思いますが今後の資金調達次第かと思います。(開発、製造など資金掛かる為)
一つ疑問なのはあれだけの技術がありながらVCなど大口の出資があまり見られない点ですがどの様に考えられますか?
ロジックアンドデザイン社については、私の見ていなかった時期でして、財務計画をもっておりません。従いまして、意見が言えるほど詳しくありません。内容については投資されている方の方が詳しいいと思います。
経営者の経歴等をみると実績のある信頼できる方に見えます。
ホームページをみると、クラウドファンディング以外で、何度か小口の増資をしているようですのですね。
VCに頼らない経営方針なのか、手元資金だけで経営可能なのか、分かりかねます。
リブセンスのように、VCに頼らずとも上場した会社はありますので、特に心配はいらないのではないでしょうか。