【FUNDINNO91号案件】株式会社ソナーユー

FUNDINNO

9月29日に募集を開始する案件を紹介します。

株式会社ソナーユー 案件評価

案件評価は以下の通りです。

経営者/経営陣 ★★★★☆
ビジネスモデル ★★★★★
計画性 ★★☆☆☆
転換上限時 時価総額 3.64億円
総合評価(A~E) B

新しい音楽業界の形として需要はあると思います。IPOに致る可能性はありそうです。売上費用計画に懸念があります。

※今回は新株予約権の発行ですので単純に時価総額が計算できません。転換上限価格3.15億円で新株が発行された場合(1株当たり1,000円)の時価総額です。1億円以上の増資の際にこの水準よりも低い転換価格になる可能性があります。

 

他案件との比較はまとめ記事に載っております。

404 NOT FOUND | クラファンマニア
投資型クラウドファンディングについて解説します

 

ご注意:投資型クラファン業界発展を心から願っているため、相当な辛口評価です案件の良し悪しを把握するため、他の方の意見や他ブログ等も読んで、よく考えてから投資をしてください。

基本情報

会社の基本的な情報をまとめてみました。

会社名
株式会社ソナーユー
代表者 髙松友治さん
創業年 2018年12月
分野 音楽
会社のURL https://sonar-u.com/
案件のURL https://fundinno.com/projects/91
twitter https://twitter.com/sonar_you
特記事項 新株予約権の発行

「sonar-u」という定額ライブサービスを提供しています。

 

髙松友治 代表取締役インタビュー

髙松友治さんのインタビュー動画です。

目標額と募集日程

目標募集額、日時については以下の通りです。

今回は新株予約権の発行です。9個9万円から45個45万円まで投資可能です。

目標募集額 13,500,000円
上限応募額 49,950,000円
募集開始日 2019年9月29日 9:00
募集終了日 2019年10月1日

 

株式会社ソナーユーの経営者

評価:★★★★☆

経営経験はあるか?

アクトコールというマザーズ上場会社で新規事業の立ち上げをされたようです。営業部長や新規事業部長を歴任されていますので、経営経験やマネジメント経験は問題ないと思います。

ご自身も音楽活動をされてきて、音楽業界に関する知見や経験はお持ちだと思います。音楽業界や若いアーティストに対する熱意を感じます。

営業+音楽をされていた経験というのは、この業界では相当な強みになると思います。

経営陣のスキルは?

技術的にはWebサイトを構築できる方がいますし、バランスの取れたメンバーと言えると思います。問題なく運営していくことができると思います。

チーム内に数字を見れる人が居るとは思うのですが、売上費用計画ともに雑な感じがします。

 

ソナーユー社のビジネスモデル

評価:★★★★★

「sonar-u」という定額ライブ参加サービスを提供しています。ユーザーは定額でライブに何度も行くことができ、都度チケットを買うよりも気軽にライブを見に行くことができます。アーティストはファンが付けば報酬を得ることができるため、音楽活動で収入を得ることができます。

引用:FUNDINNO公式サイトより

ビジネスの広まりやすさ

このビジネスは広まりやすさが武器だと思います。ノンプロのアーティストには有名も無名もいるでしょうが、ツイッターやインスタをしている人が多いです。数千人のフォロワーに呟いてもらえば、すぐに拡散させることができます。アーティスト側もファン登録してもらえれば定額報酬が得られるのですから、会社側と利害が一致していますので拡散には協力的でしょう。アーティストファーストのビジネスモデルを構築しているので、登録アーティストは増えていくでしょう。アーティストが増えればファンもついてきます。

定額だから、ファンではないけど観に来た、近くでやっていたから来た、友達に誘われたから来た、など、アーティストは新規の顧客を獲得しやすい状況が作れます。ファンを増やせばダイレクトに自分の収入にも影響しますので、あの手この手で楽しんでもらえるように頑張るでしょう。歌唱力やトーク、見た目など、アーティストに必要な要素が醸成されると思います。

現場に行くことでライブ仲間、ファン同士で仲間ができます。熱烈なファンは口コミで広げてくれる可能性も高いでしょう。広告宣伝費をかける必要が殆どないというのは大きな武器です。

懸念は最大市場の狭さか?

懸念点は市場規模でしょうか。2023年に会員数13万人を計画されています。果たしてこれが可能でしょうか?

地域的な問題

定額制をビジネス的に満足させるには、ライブのできる施設が多いこと、アーティストが多いこと、お客の多い地域という3つの要素が必要です。要するに都市圏でしか成立しないビジネスだと思います。東京から横浜にかけての都市圏(約3700万人)、京都から神戸にかけての都市圏(約1700万人)、これらの地域がメインターゲットになりそうです。

ターゲット層の属性

ライブに行く方の年齢層は高校生から20代の若物が多いと思います。16歳~29歳の男女の人口は1700万人くらいです。都心部の人口は全人口の半分くらいですので、1700万人を半分で割れば都心部に住む若者の人口が割り出せそうです。実際には、都心部は若者の割合が多いので、1000万人くらいはターゲットの若者がいそうです。十分に市場規模はありそうです。

問題は料金設定でしょう。月額1600円を出せる若者がどれほどいるかです。若者の可処分所得は低く、お金を持っていない人が多いです。1600円という金額はよほどライブが好きでないと入ってもらえない可能性が高いかなと思います。もう少しライトな属性の方向けのプランがあっても良いのかなと思います。例えば、980円で月4回まで観れるとか。導入として良いかなと思います。

ビジネスの発展性

このビジネスの面白いところは発展性があるところでしょう。歌だけでなく楽器演奏やダンスなどにも簡単に応用可能です。歌しか興味なかったけど、お金かからないから楽器演奏を見に行ったらハマってしまったということもあり得ます。少し分野は異なりますが、お笑いライブ、地下アイドルのライブなどへも応用可能でしょう。熱狂的なおっかけの多い、お笑いや地下アイドルは相性が良いと思います。当然、現地ライブなので、物販等への応用もしやすいです。

Mudiaサービス

こちらのサービスは、アーティスとへ投票することができるプラットフォームです。コスプレのKAWAII JAPANのアプリにあったようなサービスですので詳しくは割愛します。ライブへ来ると特典があったり、課金して投票する要素があったりします。ツイキャスのような課金要素があって作り込まれており、なかなかの出来だと思います。また、sonar-uのサービスとも相性が良いと思います。この2つのサービスがあることで、それぞれ補完的に競争優位性を築くことができると思います。

 

株式会社ソナーユーの計画性

評価:★★☆☆☆

前年実績

昨年12月に設立したばかりのため前年実績はありません。既に半期は終わっているため、2019年11月期上半期見込みが、実績と考えられます。上半期見込み時点では債務超過寸前です。

設立当初からユーザーはいたのでしょうが、半期で売上1000万円を超え、ユーザー数も数百名いますので、なかなかの実績と言えると思います。売上高はユーザー数×課金料金よりも多いため、課金売上以外もあるようです。

今後の見込み

2019年下半期は上半期の5倍、翌期2020年では数億円程度を見込んでいるようです。sonar-uのユーザー見込み数から、月額料金1600円×12か月で算出した売上と大きな乖離があります。月額料金以外の収入を見込んでいるようです。sonar-uの月額課金以外の売上が過大な気がします。Mudiaの課金収入でしょうかね。Mudiaの公式youtubeのチャンネル登録者数や視聴回数を見ても、売上が立つのはまだ先な気がします。

広告宣伝費も多すぎると思います。十分に成長余力もあると思いますし、真似のしにくいビジネスですので、ゆっくりと成長していけばよいと思います。ライブ文化はまだ日本には根付いていない訳で、文化を醸成しながら、アーティストを育てながら、ともに成長して欲しいです。下半期の売上計画が達成できそうであれば、広告費でアクセルをかけるのもアリだとは思います。計画通りにいかないのであれば、宣伝費をかけても無駄に終わる可能性が高いと思います。

引用:FUNDINNO公式サイトより

 

株式会社ソナーユーIPO時リターン

今回は新株予約権の発行です。4995万円で4995個発行されます。新株予約権の転換上限価格が3.15億円で、完全希薄化後発行株式数が31.5万株です。3.15億円÷31.5万株=1,000円/1株で転換されます。これは最も悪い条件ですので、これよりも良い条件で転換される可能性もあります。転換価格についてはFUNDINNOの公式サイトに詳しく記載されています。

[FUNDINNO]
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投資家の払込額は4995万円ですので、1000円で割ると4.995万株が増えることになります。もともとの発行株式数は31.5万株ですので、新株と合わせて36.495万株になります。1株1000円ですので、転換後のバリュエーションは3.64億円になります。計画のところで述べましたが、1.5億円の増資の可能性もあります。

2020年1月までにストックオプションの発行を予定しています。資本計画をみると更に増資の可能性があり、希薄化の恐れがありますのでご注意ください。

IPO時に何倍になるのかは、時価総額により変わりますので、一概には言えません。成長性や事業規模、需給等によって変わりますが、他の企業が上場した際の時価総額が参考になると思います。

※下記はストックオプションの発行や増資を加味しておりません。

参考企業 初値時価 投資に対するリターン※万円
9万円 27万円 45万円
識学 111億円 274 823 1372
カオナビ 209億円 517 1550 2584
スマレジ 292億円 722 2166 3610
Mフォワード 548億円 1355 4065 6775
Sansan 1420億円 3511 10533 17555

仮に、識学 並みの時価総額で上場し、初値で売った場合は以下の通り。

  •   9万円投資 →   274万円
  • 27万円投資 →   823万円
  • 45万円投資 →  1372万円

※募集額が満額集まった場合のシミュレーションです。募集後に発行株数が増減した場合、この通りにはなりません。税金を考慮していません。

※会社が倒産した場合など、投資資金がゼロになるリスクがあります。上場企業と違い自由に株を売ることができません。出資したまま資金が何年も拘束されることもあります。

 

FUNDINNO 91号案件 株式会社ソナーユーまとめ

まとめです。

株式ではなく新株予約権の発行。

経営者は営業や新規ビジネス等のマネジメント経験あり。

経営陣はバランスがとれており問題なさそう。

売上費用計画は甘さがある。

ビジネスモデルは秀逸で発展性がある。

バリュエーション平均的。

 

ビジネスモデルは秀逸で発展性があり大きな可能性を感じます。アーティストファーストの姿勢に好感が持てます。一方で、売上費用計画には懸念があります。ライブ文化の醸成には時間がかかると思います。広告宣伝費にお金を使うのではなく、口コミやそれを補助するようなところにお金を使うのは良いと思います。ライブ文化の醸成とともにビジネスも大きく発展すると思いますので期待しています。

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