9月25日に募集を開始する案件を紹介します。
Innovation Farm社の案件評価
案件評価は以下の通りです。
経営者/経営陣 | ★★★★☆ |
ビジネスモデル | ★★★★☆ |
計画性 | ★★★★☆ |
満額募集後時価総額 | 3.00億円 |
総合評価(A~E) | B+ |
IPOに辿り着く可能性を感じます。ガス検針に関する特許を軸にシェアを拡大して、インフラ事業を担う存在に成長して欲しい会社です。
他案件との比較はまとめ記事に載っております。

ご注意:投資型クラファン業界発展を心から願っているため、相当な辛口評価です。案件の良し悪しを把握するため、他の方の意見や他ブログ等も読んで、よく考えてから投資をしてください。
基本情報
会社の基本的な情報をまとめてみました。
会社名 | Innovation Farm株式会社 |
代表者 | 安村奈緒子さん |
創業年 | 2005年7月 |
分野 | IoT、インフラ |
会社のURL | https://www.inn-farm.co.jp/ |
案件のURL | https://fundinno.com/projects/90 |
実績 | 東京都中⼩企業振興公社の評価「事業可能性⼗分あり」 |
特許 | 特許第6541145号 |
ガス検針に関する特許を保有し、ガスインフラにおいて無人検針を担う会社になりそうです。ガス以外のインフラ事業に対しても親和性が良いため、広がりを感じます。
岡田 取締役会長インタビュー
岡田会長のインタビュー動画です。
目標額と募集日程
目標募集額、日時については以下の通りです。
今回は、20株10万円から投資可能です。
目標募集額 | 25,000,000円 |
上限応募額 | 50,000,000円 |
募集開始日 | 2019年9月25日 19:30 |
募集終了日 | 2019年9月27日 |
Innovation Farmの経営者
評価:★★★★☆
経営者としての熱意や経験は?
長年、経営者として経営経験を積まれ、マネジメントをされてきたようです。経営者として問題ないように見えます。技術者としても能力が高く、経営者+技術者という独自のポジションをもつ経営者だと思います。
お爺様がインフラ関連事業をされていて受け継いだことから、この分野に関する知見を有していると思いますし、熱意もあると思います。
経営陣のスキルは?
技術者が多く、技術面に偏った経営陣であることに若干の不安を感じます。とは言え、戦略や事業計画面をみても問題点は少ないです。堅実な経営をしていけるのではないかと思います。
またSAMURAI証券の中山社長が株主でありメンターであることから、インフラ関連事業者へのツテもあると思いますし、営業もしやすいかもしれません。
Innovation Farmビジネスモデル
評価:★★★★☆
インフラ企業向けにLPWA(特定小電力無線)の導入し、遠隔で様々なものを検知できるシステムの開発を目指しているようです。栃木市にてLPガスの遠隔検針の実証実験をしており、実現すれば省人化をすることができますので、導入企業にとっては大きなメリットになります。
デバイスからの月額通信料や開発PFの利用料でマネタイズを行うようで、利用者が増えていけばストックビジネスとして堅実な売上を見込めると思います。
引用:FUNDINNO公式サイトより
需要はあるか?
需要はあると思います。ガスの検針だけでも相当な需要でしょう。経済産業省の資料等によると、LPガスの事業者は約18000社あり、需要は2400万件あります。
需要と業者数を勘案すると、営業相手となるLPガス販売業者は、比較的小規模で地域に密着した事業者が多いと思います。業者同士の競争だけでなくオール電化事業を行う業者との競争で数が減っているようです。ガス検針に遠隔監視は人件費を削減できるため、小規模業者にとっては救いの手であると思います。
また、老朽化している日本のインフラにあって、橋や道路、トンネルという需要は十分にあると思います。国土強靭化という話が数年前に言われましたが、まさに時流と思います。
競合は?
ガスだけでなくインフラとしての市場規模は大きく。だからこそ大手競合が参入してくる余地があると思います。7月にソフトバンクと村田製作所がLPWAの共同開発に関する発表がありました。
ソフトバンクと村田製作所の記事↓

この先、ソフトバンクだけでなく、他の事業者も次々と参入してくるでしょう。LPWAの様々な通信方式が混在する状況になると思います。複数のLPWAを一括して処理できる技術を持つInnovation Farm社にとっては良い事業環境となるかもしれません。
ガスインフラに限ると、比較的小規模な業者が多いため、大手は参入しずらいでしょう。それぞれにアプローチしてもロットが小さいため、大手からすると大した売上にならず、地理的にも地方に散らばっているため、苦労の割りに報われないという感じがします。
Innovation Farm社は小規模な企業ですので、小ロットでも売上としては大きいですし、そこで実績を作り、同業者へアプローチをしていくことができると思います。また大手に比べて、固定費も低いため、より安価に導入を進めていくことができるでしょう。
戦略は?
インフラですので安いだけではダメで、安定性、安全性を重視されます。技術的な検証に時間もかかるのは仕方がありません。栃木の事業者と実証実験をされているようですので、その業者で実績を作り、同業者へ横展開していくのが良いと思います。
他のインフラへの展望も書かれていますが、ガス事業だけで十分にスケールすると思います。ガス事業をやりつくしてから、他の事業へ展開するのが良いと思います。
Innovation Farmの計画性
評価:★★★★☆
前年実績
既に数千万円を超える売上あります。人件費が多くても黒字になっていますので、堅実な経営をされていると思います。現金も十分に保有されていて、資金繰りに心配はありません。
今後の見込み
2023年以降の売上計画は過大な気がしますが、それ以外は堅実な計画だと思います。十分に達成可能だと思います。また、通信費を月額で課金していくビジネスですので、導入が進むほどに安定した経営ができると思います。ストック性が強いビジネスですので、最初の数年である程度の実績が残せれば、急成長できなくともゆっくりと成長することができると思います。
2021年の資本金、資本剰余金が増えていますので、増資の計画があるようです。
引用:FUNDINNO公式サイトより
Innovation Farm社IPO時リターン
募集前のバリュエーション(時価総額)は2.50億円です。上限のバリュエーションは3.00億円です。今回のバリュエーションは平均的です。
新株予約権を発行しています。6000株増える可能性があります。上限まで募集されたものと合計すると、バリュエーションは3.3億円です。
IPO時に何倍になるのかは、時価総額により変わりますので、一概には言えません。成長性や事業規模、需給等によって変わりますが、他の企業が上場した際の時価総額が参考になると思います。
※下記は新株が発行されていない場合のシミュレーションです。新株がすべて発行された場合は、下記の金額90%程度になります。
参考企業 | 初値時価 | 投資に対するリターン※万円 | ||
10万円 | 30万円 | 50万円 | ||
識学 | 111億円 | 370 | 1110 | 1850 |
カオナビ | 209億円 | 697 | 2090 | 3483 |
スマレジ | 292億円 | 973 | 2920 | 4867 |
Mフォワード | 548億円 | 1827 | 5480 | 9133 |
Sansan | 1420億円 | 4733 | 14200 | 23677 |
仮に、識学 並みの時価総額で上場し、初値で売った場合は以下の通り。
- 10万円投資 → 370万円
- 30万円投資 → 1110万円
- 50万円投資 → 1850万円
※募集額が満額集まった場合のシミュレーションです。募集後に発行株数が増減した場合、この通りにはなりません。税金を考慮していません。
※会社が倒産した場合など、投資資金がゼロになるリスクがあります。上場企業と違い自由に株を売ることができません。出資したまま資金が何年も拘束されることもあります。
FUNDINNO 90号案件 Innovation Farm株式会社まとめ
まとめです。
経営者は長年の経験があり、熱意あり。
経営陣は技術面に偏っている印象。
事業計画や費用計画は堅実。
大手の競合が参入する可能性大。
バリュエーションは平均的。
新株予約権を発行しているため1株価値の希薄化の懸念がある。
ガス検針事業だけでも十分に可能性を感じます。先ずはガス検針分野でシェアを獲得することが肝要だと思います。相手事業者が多いので時間はかかると思いますが、ゆっくり成長していけばよいと思います。ガス分野で事業基盤ができれば収益は安定すると思いますので、そのあとで、交通インフラ等に進出していくのが良いと思います。
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