【FUNDINNO86号案件】株式会社J•STORIA

FUNDINNO

9月8日に募集を開始する案件を紹介します。

J•STORIA社の案件評価

案件評価は以下の通りです。

経営者/経営陣 ★★★☆☆
ビジネスモデル ★★☆☆☆
計画性 ★★☆☆☆
満額募集後時価総額 2.59億円
総合評価(A~E) C-

現状のビジネスではIPOに辿り着くには厳しいと思います。

 

他案件との比較はこちらのまとめ記事に載っております。

404 NOT FOUND | クラファンマニア
投資型クラウドファンディングについて解説します

 

ご注意:投資型クラファン業界発展を心から願っているため、相当な辛口評価です案件の良し悪しを把握するため、他の方の意見や他ブログ等も読んで、よく考えてから投資をしてください。

基本情報

会社の基本的な情報をまとめてみました。

会社名 株式会社J•STORIA
代表者 二上 達裕 さん
創業年 2018年7月
分野 美顔器、健康機器
会社のURL https://jstoria.co.jp
案件のURL https://fundinno.com/projects/86
特許 美容装置、スマートフォンで制御する美容装置。他にも出願特許あり。
優遇措置 エンジェル税制優遇措置A申請予定

Wi-FiやBluetoothによる通信を行わずに、スマフォと機器を可視光通信でつなげる技術を有しています。すでにスマフォと連携できる美顔器「NOFL Smart」を開発済みであり、クラウドファンディングで得た資金で広告宣伝をしていくようです。

 

二上 達裕 代表取締役インタビュー

代表取締役の二上さんのインタビュー動画です。

目標額と募集日程

目標募集額、日時については以下の通りです。

今回は、1株10万円から投資可能です。

目標募集額 13,000,000円
上限応募額 35,000,000円
募集開始日 2019年9月8日 19:30
募集終了日 2019年9月10日

 

株式会社J•STORIAの経営者

評価:★★★☆☆

経営経験や熱意は?

既に60歳という年齢もあり、様々なご経験を積まれているようです。

スピードラーニングで有名なエスプリライン社で米国法人の副社長をされていたり、開発責任者をされていたようですので、マネジメントや経営経験は問題なさそうに見えます。

2015年に株式会社西堂美容研究所を立ち上げられ、現在まで美容機器の研究開発をされているので、この分野に関する熱意も知識も経験もあると思います。

 

経営陣のスキルは?

実務メンバーは社長含め2名です。もう1人の方は、営業成績が秀でた方のようです。

計画性のところでも書いていますが、会計計画がかなり雑です。管理会計能力のある方がいないと思います。初期のステージにある会社とはいえ、このような計画を出しても問題ないと思われているところが問題だと思います。管理会計能力の人材を早く雇う必要があると思います。中小企業診断士等の資格をもつアドバイザーを紹介してもらっても良いかもしれません。

 

株式会社J•STORIAのビジネスモデル

評価:★★☆☆☆

現在のビジネスは、スマホと連携できる美顔器を販売しているというのが実情だと思います。今後はスマホと連携できる技術をもとに、バイタルのチェックができるデバイスを開発し販売していくようです。そこから得られたデータも販売する計画のようです。

引用:FUNDINNO公式サイトより

可視光通信で機器と通信…?

Wi-FiやBluetoothの通信ではなく可視光通信で機器をつなぐとのことです。正直メリットがみえません。電波が干渉しやすい、接続が必要等のデメリットを挙げておられますが、Wi-FiやBluetoothは既に不便なく使われていますし、干渉などめったにおきません。接続に関しても皆さん使いこなしているわけで、デメリットというほどでしょうか。

可視光通信は照度センサーによる受光で通信を行うとのことです。通常のスマホであれば、Wi-Fi、Bluetooth、照度センサーは実装されており、可視光通信を行う必要を感じません。これらのモジュールを比較しても、価格はともに安く価格優位性はありません。実装面積的にも大差ないです。部品が最終製品に与えるインパクトに違いはありません。

お客さんはスマフォと機器をドッキングさせたいでしょうか?血糖値や体温くらいなら分かるのですが、美顔器をスマフォにつけて使いたいですか?スマフォの画面って顔の油とかで汚れたくないし、汚れないように保ちたいと思うのが普通の感覚ではないでしょうか。

美顔器の使用シーンを思い浮かべると、テレビを見たりスマホ見たりしながら使っているような気がします。画面からの光を受光して通信しているので、この美顔器使っている間はスマホ使えないですよね。LINEとか通知きたら美顔動作を中断するのでしょうか。

どうも全体的に技術優位な発想を抜け出せていない感じがします。前も言ったと思いますが、技術があれば製品が売れるというのは違います。

 

美顔器の競合に勝てるのか?

美顔器には多くの競合が存在しています。

パナソニックなど大手電機メーカー、中国で強いヤーマン、数多の海外メーカー。数年前は中国国内の需要やインバウンドでブルーオーシャンでしたが、中華系メーカーが参入し、昨今はレッドオーシャン状態です(ヤーマンの株価で一目瞭然ですが、決算短信を読めばすぐにわかります)。低価格品、高級品、多機能商品、何でもあります。Amazonで美顔器と検索すればいくらでも出てきます。この中でどのように優位性を築いていけるか見えません。消費者が求めているのはスマホに連携できることではなく、美しくなることだと思います。

同様のことがバイタル系のセンサーにも言えます。猫も杓子もバイタル機器開発していますので、何か秀でた優位性がないと厳しいです。

 

株式会社J•STORIAの計画性

評価:★★☆☆☆

前年実績

2018年7月に創業されて、2019年3月期の売上が250万円弱のようです。約240台のNOFL Smartを販売されたようです。1台1万円くらいで卸されているようですね。小ロットで粗利20%以上でているようですので悪くありません。販売が伸びれば利益率はもっと良くなると思います。以下は販売サイト。

ページが見つかりませんでした
スマート家電(IoT機器・家電)を取り入れて、暮らしをもっと便利に。最先端のIoT製品を購入できる通販サイト「+Style(プラススタイル)」

ちなみに2017年には製品化されており、株式会社西堂美容研究所にて継続的に販売されていると思いますが、あまり販売を伸ばせているように見えません。2017年にはMakuakeという購入型クラウドファンディングサイトで募集されていたようですが、未達に終わっているようですね。下記参照。

Makuake|スマホ美顔器「NOFL Smart」- トリートメント設定をアプリでカスタマイズ|Makuake(マクアケ)
NOFL Smart(ノーフル・スマート)は、スマートフォンに取り付けて使用する新しい美顔器です。 低周波の電流によって顔の表情筋を刺激し、肌にハリと弾力を与えます。専用アプリを使ってトリートメントを行う顔の部位、タイマー、電流のレベル、パルス(周波数)のタイミングなどを設定することができます。 また市販の電池で動くた...

 

現金は800万円ありますので短期的な資金繰りは問題ないと思いますが、長短借入金が合計で約1900万円ありますし、債務超過です。

 

今後の見込み

今期中にNOFL Smartを7000台を売る計画のようです。2020年前期は300個目標。後期は6700個目標なので、何か売れる算段でもあるのでしょうか。売れないのは認知が足りないからでは無いと思います。広告費を1000万円弱かけるようですが、広告費をかければ売れるというものはないと思います。

2021年は広告費を1億円、2022年には2億円以上かける計画になっています。こういう計画を作るのもどうかと思いますが、止める人が居ないことが不思議でなりません。

2021年にも資本金及び資本剰余金が増えていますので、資金調達予定のようですね。

 

引用:FUNDINNO公式サイトより

 

J•STORIA社IPO時リターン

募集前のバリュエーション(時価総額)が2.24億円です。満額、募集が集まった場合のバリュエーションは2.59億円です。今回のバリュエーションは平均的です。

IPO時に何倍になるのかは、時価総額により変わりますので、一概には言えません。成長性や事業規模、需給等によって変わりますが、他の企業が上場した際の時価総額が参考になると思います。

参考企業 初値時価 投資に対するリターン※万円
10万円 30万円 50万円
識学 111億円 429 1286 2143
カオナビ 209億円 807 2421 4035
スマレジ 292億円 1127 3382 5637
Mフォワード 548億円 2116 6347 10579
Sansan 1420億円 5483 16448 27413

仮に、識学 並みの時価総額で上場し、初値で売った場合は以下の通り。

  • 10万円投資 →  429万円
  • 30万円投資 →  1286万円
  • 50万円投資 →  2143万円

※募集額が満額集まった場合のシミュレーションです。募集後に発行株数が増減した場合、この通りにはなりません。税金を考慮していません。

※会社が倒産した場合など、投資資金がゼロになるリスクがあります。上場企業と違い自由に株を売ることができません。出資したまま資金が何年も拘束されることもあります。

 

FUNDINNO 86号案件 株式会社J•STORIAまとめ

まとめです。

経営者はマネジメントや経営経験あり。

経営陣は技術や営業面のスキルは卓越している。

売上計画、費用計画ともに雑であり、会計に詳しい人材が必要。

競合が多く、レッドオーシャンの市場で勝ち抜けるか未知数。

バリュエーションは平均的。

 

美顔器の市場は競合が多く、広告費をかけても売上を大きく伸ばすことは難しいと思います。それはバイタル機器でも同様です。製品が売れないのは認知の問題ではないと思いますので、顧客となりそうな方に徹底的にインタビューをして製品自体を練り直す必要があると思います。

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