9月3日に募集を開始する案件を紹介します。
リンクトラスト・ペイ社の案件評価
案件評価は以下の通りです。
経営者/経営陣 | ★★★★☆ |
ビジネスモデル | ★★★★☆ |
計画性 | ★★★★☆ |
満額募集後時価総額 | 3.03億円 |
総合評価(A~E) | B+ |
IPOに辿り着く可能性を感じます。QR決済市場の成長を上手く捉えることができれば、事業を大きく伸ばすことができると思います。
他案件との評価の比較は、下記まとめ記事に載っております。

ご注意:投資型クラファン業界発展を心から願っているため、相当な辛口評価です。案件の良し悪しを把握するため、他の方の意見や他ブログ等も読んで、よく考えてから投資をしてください。
基本情報
会社の基本的な情報をまとめてみました。
会社名 | リンクトラスト・ペイ株式会社 |
代表者 | 林 挺然 さん |
創業年 | 2009年4月 |
分野 | 決済 |
会社のURL | https://linktrust-pay.com/ |
案件のURL | https://fundinno.com/projects/85 |
導入実績 | https://linktrust-pay.com/jisseki/ |
QRコードのマルチ決済を可能にする技術を有しています。PaypayやLINE payなど、QRによる決済手段が登場し脚光を浴びています。これらすべてのQRコードに対応することで、店舗側の機器の導入負担を減らすことができそうです。
林 挺然 代表取締役インタビュー
代表取締役の林さんのインタビュー動画です。
目標額と募集日程
目標募集額、日時については以下の通りです。
今回は、1株10万円から投資可能です。
目標募集額 | 15,000,000円 |
上限応募額 | 50,000,000円 |
募集開始日 | 2019年9月3日 19:30 |
募集終了日 | 2019年9月5日 |
リンクトラスト・ペイの経営者
評価:★★★★☆
経営者としての熱意や経験は?
ハイアールの首席代表のポジションに就かれていた経験があります。他の会社でも役員経験を持ち、経営経験という面では問題ないでしょう。
QRコード決済に対する熱い思いをお持ちのようです。QRコードで先行している中国出身の方ですので、中国国内の決済市場動向も把握されているでしょう。
経営陣のスキルは?
実務メンバーは2名です。監査役1名、顧問が1名という経営陣です。
ソフトウェアに強いエンジニアがおり、技術的な面は問題なさそうです。元証券アナリストの方が監査役ということで、ファイナンス面でも管理できると思います。パソナ顧問だった方もおられるので、人材派遣大手のコネを使って、様々な企業にアプローチできると思います。
ビジネスモデルやターゲットを見る限り、非常に練られているように感じます。戦略立案や構想力という面は問題ないと思います。
計画面では売上計画、費用計画ともに無理のない無難な計画に見えます。十分に会計的なマネジメントをしていける経営陣と思います。
リンクトラスト・ペイのビジネスモデル
評価:★★★★☆
Paypayがキャンペーンで話題になりました。LINEやメルカリなど他の企業も同様のQRコード決済サービスを展開し始めています。クレジットカードなどの決済手段に比べて手数料が安いため店舗側が導入しやすいのです。Paypayの手数料は2021年まで無料で、2021年以降もクレジットカードよりは安い手数料になると思われます。
安い手数料になるであろう根拠としては、先行している中国のアリペイがほぼ無料だからです。アプリ上に表示させる広告収入、決済時ではなく出金時に手数料を取ること、金融事業で儲けることができることでき、決済手数料を取らなくても儲ける手段があるからです。
引用:FUNDINNO公式サイトより
マルチ決済サービスの需要はあるか?
日本ではクレジットカードに変わる新たな市場を創生しようと様々Payが乱立しているのが現状です。店舗側はどのpayを導入したらよいのか困惑していると思います。リンクトラストペイ社は、QRコード決済を一括で決済処理できる技術で、店舗側がどのpayにも対応できるような状況を作ろうとしてるようです。
「AliPay」「WeChatPay」は中国で利用されています。訪日中国人は増々増えており、これらの決済手段に対応しないと商品やサービスを売ることが難しくなるしょう。
国内で乱立しているpayへの対応、訪日外国人への対応、両面からマルチ決済サービスの需要は相当にあると思います。特に直近数年の需要は大きくなると思います。
競合に勝てるのか?
マルチ決済サービスには競合が存在するようです。
ネットスターズという会社が技術的にも導入実績でも最も先行しているように見えます。市場自体が大きく成長していくと思いますので過度に気にしなくても良いのかもしれません。
とはいえ、リソース面で劣っているので、市場全体をターゲットとしてまともにやり合うのは得策ではありません。主に訪日外国人にターゲットを絞っているのは良い戦略だと思います。
IoTとの組み合わせの「決済+」に関しては、技術的優位性があるようには思えません。ソニーさんと協業しているように、大手との協業による優位性を築くというのが正しいと思います。そういう戦略をとられているのは正解だと思います。
「決済+」は駐車場やロッカーという場所には相性が良いと思います。駐車場大手のパーク24さんやJRさんと協業ができればと思います。分野ごとに大手と協業し、その分野へ競合が入り込む余地を少なくしていくことが肝要です。他社も真似をできるので迅速さが大事です。
これからも競合は増えていくと思います。それまでに特定分野でのニッチポジションを確かなものにして、資本力や技術力を蓄えていくことが大事だと思います。また、技術の売り切りではなく、できれば、ストックビジネスになるように事業を構築していくのが良いと思います。
リンクトラスト・ペイの計画性
評価:★★★★☆
前年実績
既に2000万円を超える売上あります。売上原価が低く利益率が高いビジネスに見えます。
人件費がやや多いものの、他の費用で問題になるようなところはありません。赤字であるものの、堅実な経営実績と言えると思います。
今後の見込み
既に狙っている市場、マルチ決済端末のライセンス、自社運営自販機、病院等への実績があり、今後は契約を伸ばせるかというところだけです。
今回の資金調達でリソースの確保ができると思いますので、スピード感をもって契約を獲得していくとが大事だと思います。
費用面で問題となるような個所はありません。
引用:FUNDINNO公式サイトより
リンクトラスト・ペイ社IPO時リターン
募集前のバリュエーション(時価総額)が2.53億円です。満額、募集が集まった場合のバリュエーションは3.03億円です。今回のバリュエーションは平均的です。
新株予約権を発行しています。2023年までに売上が1億を超えた場合、1080株増える可能性があります。今回の満額された場合と合計すると、バリュエーションは4.11億円です。
IPO時に何倍になるのかは、時価総額により変わりますので、一概には言えません。成長性や事業規模、需給等によって変わりますが、他の企業が上場した際の時価総額が参考になると思います。
※下記は新株が発行されていない場合のシミュレーションです。新株がすべて発行された場合は、下記の金額の4分の3程度になります。
参考企業 | 初値時価 | 投資に対するリターン※万円 | ||
10万円 | 30万円 | 50万円 | ||
識学 | 111億円 | 366 | 1099 | 1832 |
カオナビ | 209億円 | 690 | 2069 | 3449 |
スマレジ | 292億円 | 964 | 2891 | 4818 |
Mフォワード | 548億円 | 1809 | 5426 | 9043 |
Sansan | 1420億円 | 4686 | 14059 | 23432 |
仮に、識学 並みの時価総額で上場し、初値で売った場合は以下の通り。
- 10万円投資 → 366万円
- 30万円投資 → 1099万円
- 50万円投資 → 1832万円
※募集額が満額集まった場合のシミュレーションです。募集後に発行株数が増減した場合、この通りにはなりません。税金を考慮していません。
※会社が倒産した場合など、投資資金がゼロになるリスクがあります。上場企業と違い自由に株を売ることができません。出資したまま資金が何年も拘束されることもあります。
FUNDINNO 85号案件 リンクトラスト・ペイ株式会社まとめ
まとめです。
経営者は大手企業でのマネジメント経験あり。
経営陣は技術、会計、営業面でも問題なさそう。
事業計画や費用計画は堅実でマネジメントもできそう。
競合が存在しており、分野を絞り、スピード感をもって経営をする必要がありそう。
バリュエーションは平均的。
新株予約権を発行しているため1株価値の希薄化の懸念がある。
いち消費者として、昨今乱立しているPay市場はどうなっていくのかと考えていましたが、恐らく当分の間、統合されることはなく乱立したままだと思います。
マルチ決済の技術は当然必要ですし、必要技術だからこそ競合も増えていくでしょう。スピード感をもって独自ポジションを築き上げ、より便利な世の中を構築して欲しいと願っています。
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