【FUNDINNO 82号案件】 ダブル技研株式会社

FUNDINNO

8月21日に募集を開始するFUNDINNOの案件を紹介します。

ダブル技研株式会社の案件評価

私独自の評価は以下の通りです。

経営者 ★★★★☆
ビジネスモデル ★★★★☆
計画性 ★★★☆☆
満額募集後時価総額 8.6億円
総合評価(A~E) B

バリュエーションが高いものの、

既に安定したビジネスを展開され、IPOに至る可能性は非常に高いと思います。

この技術を欲しがる企業は多いので、買収もあるかもしれません。

 

他案件との評価の比較は、下記まとめ記事に載っております。

404 NOT FOUND | クラファンマニア
投資型クラウドファンディングについて解説します

 

私独自の評価ですので、

あくまでも参考程度に受け止めていただきますようお願いいたします。

評価の理由は後述していますので、そちらをご覧ください。

 

※ご注意※

基本的に辛口の評価です、プロフィールにも書いていますが、

投資型クラファン業界の発展を心から願っているためです。

各案件の良し悪しを把握してから投資することが大事だと考えています。

 

基本情報

会社の基本的な情報をまとめてみました。

会社名 ダブル技研株式会社
代表者 和田 博 さん
創業年 1977年10月
分野 ロボット、機械
会社のURL http://www.j-d.co.jp/
案件のURL https://fundinno.com/projects/82
実績 NEDO等から「次世代人工知能ロボット中核技術開発」「課題解決型福祉用具実用化開発」などの事業委託
特許 D-Handに関連したものから新技術「Flying carry」システムに該当するものまで多数申請
協業 CYBERDYNE等との協力関係

D-Handと人の手のようなロボット手、その視覚となるD-visionという技術を保有。

シンプルで操作も簡単、視覚があるため物体を認識して掴むことができます。

単純作業をするロボットアームは既に存在していますが、

物体を認識してものをつかむことができれば、様々な用途へ応用可能と思われます。

 

インタビューの動画がこちらです。

目標額と募集日程

目標募集額、日時については以下の通りです。

目標募集額 15,000,000円
上限応募額 60,000,000円
募集開始日 2019年8月21日 19:00
募集終了日 2019年8月23日

 

ダブル技研株式会社の経営者について

評価:★★★★☆

長年の経営経験者、かつ技術者

お父様の会社を継がれ、35年の経営経験があるようです。

元々は自動車組み立てラインでの溶接自動化装置で使用する部品加工をしていたようですが、

組み立てや設計を担うようになったようです。

バブル後に自動車業界からの脱却を図るために、様々な研究や開発を続け、

独自技術をもつ企業へと成長させています。

ただ、会社は債務超過であり、継続的に儲けることができていません。

技術者として非常に優秀だとは思いますが、

会計的なコントロールのできていないところに不安があります。

 

バランスのとれた経営陣

ハード、ソフトの優秀な技術者が数名います。

技術的な観点では相当な力を持つ会社だと思います。

製品を開発するという点においては全く不安がありません。

 

アドバイザーとして、中小企業診断士とMBAをもつ方も名を連ねています。

技術者の視点だけではく、経営の専門的知識を持つ方がいますので、

会計、販促、その他の多くの点で、視野を広く、補完的な役割を担ってくれると思います。

経営チームとしては申し分ないと思います。

 

ダブル技研株式会社のビジネスモデルについて

評価:★★★★☆

主に工場等の生産ラインへ、ニーズに合ったロボットアームを提案し、

受注生産をしていくというビジネスです。

労働人口が減り、人件費が高騰していく中で、

モノを運ぶだけでなく、人と同じようなことができるロボットは、

産業用という枠を超えて、多くの分野で需要があると思います。

引用:FUNDINNO公式サイトより

産業用ロボットを作る会社は多くあります。

安川電機、不二越、ファナック、川崎重工業、ヤマハ発動機、パナソニック。

大企業ですので競合としては強敵です。

自動車用、半導体用などそれぞれの分野で強みがあり、既に多くのシェアを獲得しています。

まともに勝負をするのはすべての面で不利です。

 

①大手と協業してアームを納入することに特化

②大手が開拓できてない分野へ進出が良いと思います。

 

①大手と協業してアームを納入することに特化

独自技術を武器に、上記の産業ロボ大手と協業することができれば、

大手が構築した生産ラインや今後成約した工場等への導入できます。

ロットも大きいと思いますので、一気に売上を伸ばせる可能性があります。

大手企業についていけば中国やその他の海外へも容易に進出できます。

営業をかける必要もないので、営業や販促費を減らすこともできます。

需要が無くなれば切られたり、値下げ圧力にさらされるリスクもあります。

 

②大手が開拓できてない分野へ進出

ロボットアームが導入されているのは、半導体や自動車などが中心です。

「D-Hand」「D-Vision」は他のロボットアームのできない、

物体認識、文字認識、色認識機能が備わっており、

機構的に安価でできるという面を活かして、

大手の参入していない(してこない)比較的小規模な産業やサービスに向いていると思います。

大手に比べロットが小さいので売上が立ちにくいのと、営業が大変だと思います。

 

①、②を同時にするのも良いと思います。

理想的には①で売上をあげながら、

②でニッチ分野のアーム市場のシェアを確保するという感じでしょうか。

 

他には、ソフトバンクのペッパーが、

あのアームを付けたら色々なことができそうだなと思いました。

ペッパーは現時点では重いものを持つことができません。

ヒト型のロボットとして、介護施設や病院などでモノを運んだり、

ペッパーの用途が広まるのではないかと思いました。

ソフトバンクさんと協力したら面白いかも。

 

 

ダブル技研株式会社の計画性について

評価:★★★☆☆

前年実績

既に売上は2億を超えており前年は純利益を確保しています、

他の案件に比べ実績面では上位と思います。

とはいえ、長年の経営の結果、債務超過です。

長期の借入金、未払金、役員借入金で合計2億円以上あります。

売上なみの借入金があり、財務状況は厳しいと言わざる得ません。

 

今後の見込み

下記のマイルストーン通りに売上計画が推移しないと、

債務超過であるため借入も増資も難しそうです。

売上総利益率、営業利益率の計画値は非常に高く。

利益率の良い製品であると思います。

計画通り販売できれば、相当な利益の伸びも期待でき、

債務超過からすぐに抜け出せる可能性も高いと思います。

 

引用:FUNDINNO公式サイトより

ダブル技研株式会社がIPOした場合のリターン

募集前のバリュエーション(時価総額)が8億円です。

満額、募集が集まった場合のバリュエーションは8.6億円です。

今回のバリュエーションは他案件に比べ高いです。

売上が2億を超えているため、他の案件とはステージが違うので、単純比較できません。

 

IPO時に何倍になるのかは、時価総額により変わりますので、一概には言えません。

成長性や事業規模、需給等によって変わりますが、

他の企業が上場した際の時価総額が参考になると思います。

参考企業 初値時価総額 投資額に対するリターン※万円
10万円 30万円 50万円
識学 111億円 129 387 645
カオナビ 209億円 243 729 1215
スマレジ 292億円 340 1019 1698
マネーフォワード 548億円 637 1912 3186
サイバーダイン 923億円 1073 3220 5366

仮に、識学 並みの時価総額で上場し、初値で売った場合、

10万円を投資していれば 129万円、

30万円を投資していれば 387万円、

50万円を投資していれば 645万円になります。

参考に、同業のロボット会社のサイバーダインを表に入れています。

ちなみにサイバーダインは売上高6億円のころに上場して、初値の時価総額で923億円です。

 

※これらはすべて、募集額が満額集まった場合のシミュレーションです。

※募集後に発行株数が増減した場合、この通りにはなりません。ご注意ください。

※税金を考慮していません。

 

最悪の場合ですが、会社が倒産した場合などは、

投資資金がゼロになるリスクがあることを忘れてはいけません。

また、上場企業と違い、自由に株を売ることができませんので、

出資したまま資金が何年も拘束されることになります。

 

FUNDINNO 82号案件 ダブル技研株式会社まとめ

まとめです。

歴史ある技術の会社。長年の経験のある経営者。

ハードソフト技術者、経営を知る人物のいるバランスの取れた経営陣。

既に「D-Hand」「D-Vision」という他のロボットアームにできない技術を保有。

関連特許も多数申請し、NEDO等からの技術的な評価も受けている。

債務超過であり、借入金も多い。

他案件に比べバリュエーションが高い。

 

ダブル技研の技術は、これまでロボットアームを利用してこなかった産業を含めて、

多くの産業やサービスに使われる可能性があります。

技術は競合を凌駕していると思いますが、残念ながら財務状況があまり良くありません。

競合や異分野の大手と協業するなどして、

お金をかけずに売上利益を伸ばし、まずは財務体力を回復させてほしいです。

 

 

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