8月4日に募集を開始するFUNDINNOの案件を紹介します。
株式会社スキノスの案件評価
私独自の評価は以下の通りです。
経営者 | ★★☆☆☆ |
ビジネスモデル | ★★☆☆☆ |
計画性 | ★★☆☆☆ |
満額募集後時価総額 | 2.6億円 |
総合評価(A~E) | D |
正直に言って、IPOを狙うには少し不安があります。
既に開発した商品があるものの、どれだけ需要が見込め、
IPOできるほどに売上を拡大できるのか疑問なところです。
他案件との評価の比較は、下記まとめ記事に載っております。

私独自の評価ですので、
あくまでも参考程度に受け止めていただきますようお願いいたします。
評価の理由は後述していますので、そちらをご覧ください。
※ご注意※
基本的に辛口の評価です、プロフィールにも書いていますが、
投資型クラファン業界の発展を心から願っているためです。
各案件の良し悪しを把握してから投資することが大事だと考えています。
基本情報
会社の基本的な情報をまとめてみました。
会社名 | 株式会社スキノス |
代表者 | 百瀬 英哉 さん |
創業年 | 2017年4月 |
分野 | Iot、センサー、医療機器 |
会社のURL | http://www.skinos.co.jp/ |
案件のURL | https://fundinno.com/projects/80 |
エンジェル税制 | 優遇措置B適用申請予定 |
実績 | 医療機器への認定済み、保険適用済み |
特許 | センサーや計測計に関する特許を取得済み |
協業 | 信州大学との協力研究体制を継続 |
信州大学発のベンチャーで、商品の開発を終え、複数の特許を取得しています。
この分野においては、技術力を背景にした圧倒的な競争優位性を持つと思います。
例え、資金力の大きな会社が参入してきても、優位に戦える可能性が高いです。
また信州大学とのつながりにより、リソース面でも優位な立場を築くことができています。
インタビューの動画がこちらです。
目標額と募集日程
目標募集額、日時については以下の通りです。
目標募集額 | 17,000,000円 |
上限応募額 | 50,000,000円 |
募集開始日 | 2019年8月4日 9:00 |
募集終了日 | 2019年8月6日 |
株式会社スキノスの経営者について
評価:★★☆☆☆
経営者のマネジメント経験
経歴を見る限り、事業会社等でのマネジメントなどの経験はないようです。
この点はかなり心配な点です。
IPOをできるほどに事業を拡大するには、
経営者として相当な能力が必要だと思うからです。
経営をしながら、身につけておられる方もいるので、そこに期待でしょうか。
経営者の属性が懸念点
2名の取締役。顧問が2人おり、計4人体制です。
4人とも技術系出身の方のようです。
経営に必要な会計的な素養や、法律、マーケティングや営業に関して、
この経営陣ではカバーできていないと思われます。
経営戦略やそれに付随する会計的な計画。マーケティング戦略。
そしてそれをマネジメントする力です。
経営者に求められる力は、技術力だけではないのです。
また、顧問が2名いる理由も良く分かりません。
”技術レベルが高いのに、モノを売ることができない”
このような、よくありがちな会社にならないのかという心配が残ります。
早い段階で、会計等に精通した人材を集められることが成功へのカギと思います
株式会社スキノスのビジネスモデルについて
評価:★★☆☆☆
病院や研究機関向けに発汗計測装置を販売。
将来的には発汗計測装置を小型化し、様々な企業へ販売していくようです。
引用:FUNDINNO公式サイトより
技術は確かに素晴らしいと思います。
問題はこの素晴らしい技術をマネタイズできるのかというところにつきます。
正直、現在の発汗計測装置の需要が大きくあると思えません。
病院やクリニックに1台あれば十分ですし、
その装置がないと相当に困るというものではないと思うからです。
小型化し、デバイスを売っていくという計画になっています。
この小型デバイスが本当に他製品を圧倒できるのでしょうか。
他の健康計測機器に比べ、発汗量が測れるとどの程度素晴らしいことができるのか、
疑問が残りますし、需要が見込めるのかも未知数だと思います。
経営陣のところでも指摘しましたが、
営業やマーケティングに強い方もおられないようですので、
小型化できた後、拡販していく局面でも不安が残ります。
もう一度言いますが、IPOを狙う上では、
技術的に良いものを作れても、売れないと意味がないのです。
株式会社スキノスの計画性について
評価:★★☆☆☆
前年実績
前期実績では、数千万の売上があります。
詳しく書かれていませんが、発汗計測装置の売上でしょう。
単価は百万円程度でしょうか。
売上総利益率62%あり、利益率の高い製品と言えます。
数百万の赤字がありますが、特に目立つような費用もありません。
今後の見込み
2020年3月期の見込みで、大きめの人件費や研究費を計上する見込みとあります。
小型化のための研究費用だと思われますが、
翌年以降も資産に対してやや大きめの研究開発費を計上予定です。
また、計画では、資本金+資本剰余金が3年連続で増加しています。
FUNDINNOでの資金調達後に、追加で5000万を2回調達するという計画のようです。
私たちの投資後に、株数が更に増え、1株価値が希薄になります。
また、問題点がいくつか挙げられます。
・2022年の小型センサーデバイス販売までに研究開発が上手くいくのか。
・仮に開発ができたとして、そもそも売れるのか。
・開発が間に合わない場合や売れない場合には、
やや大きめの研究開発費や人件費を賄うことができない可能性があります。
資金調達も困難となる可能性が高いです。
計画というのは上手くいく前提で書かれるものだというのは理解しますが、
開発計画や販売計画が上手くいかなかった場合に、
リカバリーができそうもないというところに不安を感じます。
株式会社スキノスがIPOした場合のリターン
募集前のバリュエーション(時価総額)が2.1億円です。
満額、募集が集まった場合のバリュエーションは2.6億円です。
今回のバリュエーションは標準的です。
IPO時に何倍になるのかは、時価総額により変わりますので、一概には言えません。
成長性や事業規模、需給等によって変わりますが、
他の企業が上場した際の時価総額が参考になると思います。
参考企業 | 初値時価総額 | 投資額に対するリターン※万円 | ||
10万円 | 30万円 | 50万円 | ||
識学 | 111億円 | 427 | 1281 | 2135 |
カオナビ | 209億円 | 804 | 2412 | 4019 |
スマレジ | 292億円 | 1123 | 3369 | 5615 |
マネーフォワード | 548億円 | 2108 | 6323 | 10538 |
Sansan | 1420億円 | 5462 | 16385 | 27308 |
仮に、識学 並みの時価総額で上場し、初値で売った場合、
10万円を投資していれば 427万、
30万円を投資していれば 1281万、
50万円を投資していれば 2135万になります。
※これらはすべて、募集額が満額集まった場合のシミュレーションです。
※募集後に発行株数が増減した場合、この通りにはなりません。ご注意ください。
※税金を考慮していません。
最悪の場合ですが、会社が倒産した場合などは、
投資資金がゼロになるリスクがあることを忘れてはいけません。
また、上場企業と違い、自由に株を売ることができませんので、
出資したまま資金が何年も拘束されることになります。
FUNDINNO80号案件 株式会社スキノスまとめ
まとめです。
商品を開発済み、特許も取得済み。技術水準は圧倒的。
経営者は技術者として非常に優秀だと思われますが、能力に偏りがあると思われます。
IPOを目指す上で、
今のビジネスモデルで売上の急拡大が見込めるかは、少し疑問が残ります。
財務、売上計画には不安が残ります。
ビジネスをコントロールできるのか疑問が残ります。
追加増資の可能性が高く、IPO後のリターンが想定より減る可能性があります。
技術としては非常に面白く、
どのように社会の役に立ち、売上を確保していくのかは興味深い案件です。
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