7月27日に募集を開始するFUNDINNOの案件を紹介します。
株式会社AXIVEの評価
私独自の評価は以下の通りです。
経営者 | ★★★☆☆ |
ビジネスモデル | ★★☆☆☆ |
計画性 | ★★☆☆☆ |
募集後時価総額 | 3.6億円 |
総合評価(A~E) | C- |
正直に言って、IPOを狙うには少し物足りない気がします。
私独自の評価ですので、
あくまでも参考程度に受け止めていただきますようお願いいたします。
評価の理由は後述していますので、そちらをご覧ください。
他案件との評価の比較は、下記まとめ記事に載っております。

※ご注意※
基本的に辛口の評価です、プロフィールにも書いていますが、
投資型クラファン業界の発展を心から願っているためです。
各案件の良し悪しを把握してから投資することが大事だと考えています。
基本情報
会社の基本的な情報をまとめてみました。
会社名 | 株式会社AXIVE |
代表者 | 大槻 玉枝 さん |
創業年 | 2018年4月 |
分野 | AI、介護 |
会社のURL | http://axive-ai.co.jp/ |
案件のURL | https://fundinno.com/projects/79 |
エンジェル税制 | 優遇措置A適用申請予定 |
実績 | 次世代イノベーション創出プロジェクト2020採択企業 |
特許 | 特許申請中:骨格データで行動解析をする技術に関して |
協業 | 凸版印刷株式会社グループ会社との協業 |
人間の関節位置データをデジタルデータ化し、それをもとに骨格データのみで、
人の行動解析を行う技術を有しています。
次世代イノベーション創出プロジェクトにも採択されていることから、
すでに認められた技術と言えると思います。
大手企業子会社との協業を確立しており、
投資家にとっては安心感のある案件と言えそうです。
インタビューの動画がこちらです。
目標額と募集日程
目標募集額、日時については以下の通りです。
目標募集額 | 22,000,000円 |
上限応募額 | 60,000,000円 |
募集開始日 | 2019年7月27日 |
募集終了日 | 2019年8月6日 |
株式会社AXIVEの経営者について
評価:★★★☆☆
経営者の覚悟あり!
今後の計画に、役員からの借り入れを予定しており、
非常に事業に対する意気込みを感じることができます。
また、ご自身の介護経験からくる並々ならぬ、
介護の負担軽減への意欲が伝わります。
経営者の属性
3名の役員体制です。
代表取締役とCIOの方は、信託銀行に勤めていたようです。
経営に必要な会計的な思考をお持ちだと推測されます。
また、取締役の金井さんは、セシールで取締役やスギ薬局で常務を務められており、
経営経験は豊富な方とお見受けしますし、人脈もあるのかなと思います。
ただ、法律に詳しい方や、ITや技術的なこと、
マーケティングや営業に関して、経営陣でカバーできていないような感触があります。
ベンチャーですので、すべてを網羅できるわけではありませんが、
これらの人材を確保できるかが成功のカギのような気がします。
株式会社AXIVEのビジネスモデルについて
評価:★★☆☆☆
施設や個人向けに、見守りセンサーを設置。
その利用料でマネタイズを行うということです。
引用:FUNDINNO公式サイトより
技術は確かに素晴らしいと思います。
問題はこの素晴らしい技術をマネタイズできるのかというところにつきます。
この見守りセンサーがあると、
どの程度役に立つものなのか良くわかりません。
介護施設等でどの程度の人件費の削減が見込めるのかを明示できないと、
採用する施設が無いような気がします。
また、すでに多くの見守り機器は存在しており、
群を抜いてメリットがないと、施設側に導入させるには骨が折れるでしょう。
営業やマーケティングに強い方もおられないようですので、
実際に導入してもらうにはハードルが高い気がします。
IPOを目指す上では、次々と施設等へ導入しなくてはなりませんし、
導入した施設から、更に上乗せして売上をあげるような、
何らかの計画や施策が必要な気がします。
株式会社AXIVEの計画性について
評価:★★☆☆☆
前期実績では、ほぼ売上がなく、費用が先行し、大きな赤字を出しています。
2020年3月期の見込みで、多額の人件費を計上する見込みとあります。
売上や資産に対し、過大すぎる人件費の計上を予定しています。
役員からの借入や、他からの借入を見込んで前提での計画となっています。
予定している売上が立たなかった場合、
長期間にわたり、大赤字になるリスクがあります。
予定している役員からの多額の借入を、
資本金として出資させないのかという疑問も残ります。
財務計画、売上計画ともに、不可解な内容が散見され、
管理会計のできる人間がいないのではないかという疑問をもちます。
本当に計画通り事業をコントロールできるのか?と疑念を抱かざる得ません。
株式会社AXIVEがIPOした場合のリターン
募集前のバリュエーション(時価総額)が3億円です。
満額、募集が集まった場合のバリュエーションは3.6億円です。
今回は、バリュエーションが比較的高いです。
IPO時に何倍になるのかは、時価総額により変わりますので、一概には言えません。
成長性や事業規模、需給等によって変わりますが、
他の企業が上場した際の時価総額が参考になると思います。
参考企業 | 初値時価総額 | 投資額に対するリターン※万円 | ||
10万円 | 30万円 | 50万円 | ||
識学 | 111億円 | 308 | 925 | 1542 |
カオナビ | 209億円 | 581 | 1742 | 2903 |
スマレジ | 292億円 | 811 | 2433 | 4056 |
マネーフォワード | 548億円 | 1522 | 4567 | 7611 |
Sansan | 1420億円 | 3944 | 11833 | 19722 |
仮に、識学 並みの時価総額で上場し、初値で売った場合、
10万円を投資していれば 308万、
30万円を投資していれば 925万、
50万円を投資していれば 1542万になります。
※これらはすべて、募集額が満額集まった場合のシミュレーションです。
※募集後に発行株数が増減した場合、この通りにはなりません。ご注意ください。
※税金を考慮していません。
最悪の場合ですが、会社が倒産した場合などは、
投資資金がゼロになるリスクがあることを忘れてはいけません。
また、上場企業と違い、自由に株を売ることができませんので、
出資したまま資金が何年も拘束されることになります。
FUNDINNO79号案件 株式会社AXIVEまとめ
まとめです。
基礎技術は確立されており、既に認められ、特許も申請中。
経営者は意欲的で能力ある人材ですが、能力に偏りがあると思われます。
IPOを目指す上で、
今のビジネスモデルで売上の急拡大が見込めるかは、少し疑問が残ります。
財務、売上計画には不可解な内容が散見され、
ビジネスをコントロールできるのか疑問が残ります。
バリュエーションが3億以上と高いため、上場の際のリターンは少なめになります。
介護の悩みを抱える方は多く、これからも増えていくものと考えられます。
社会的な意義を鑑みると、何とかやり遂げて欲しい案件と切に思います。
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